NFTアートが変えた、デジタルアートの可能性。
テクノロジーで世界を彩る、VRアーティスト。
テクノロジーと「和」の融合で唯一無二のアートを創造し続け、世界中を魅了するVRアートの第一人者、せきぐちあいみさん。新たに世界への挑戦に踏み出す思いや、滋慶学園COMグループ教育顧問として未来のテクノロジーを担う学生へのアドバイスなど貴重なお話を伺いました。
特別講師
VRアーティスト
せきぐち あいみ氏
クリーク・アンド・リバー社所属。VRアーティストとして多種多様なアート作品を制作しながら、国内にとどまらず海外(アメリカ、ドイツ、フランス、ロシア、UAE、タイ、マレーシア、シンガポール…etc.)でもVRパフォーマンスを披露して活動している。2017年、VRアート普及のため、世界初のVR個展を実施すべくクラウドファンディングに挑戦し、目標額の3倍強(347%)を達成。Withing公式アンバサダー。
自分でゼロから創り出したアートに価値が付く喜び。
「Forbes Japan 100」での選出や、多くのメディア出演など、益々注目を集めるせきぐちさんですが、2年前の取材以降、VRアートにおける世の中の変化を感じますか?
VRやメタバース、アートに関わる全てにおいてとても関心が高まっている感じがします。特にNFTという形でデジタルアートがアートとしての価値を持ったことが非常に大きな変化につながったのではないかと思います。私自身の活動も、ここ数年で大きく変わりました。海外でも活動して行こうと思っていた矢先にコロナの影響で積み上げて来た仕事が一度全て無くなってしまった。でも、VRには可能性はあると信じていましたし、私は好きなことをやっているから食べられなくなったとしても何が何でも続けて行こうと思っていました。そんな中、NFTによりゼロから創り出した自分の作品に価値が付いてお金になる幸せに改めて気づくことができました。以前は、企業やブランドから依頼されて制作し、報酬をいただくことが多かったんです。クライアントワークはとてもありがたいことなのですが、それを主体にすると世の中と上手くやって行こうという意識が自然と根付いてしまう。でも芸術はその枠から飛び出す要素も必要で。きれいにまとまってしまうのは、ある意味仕事をする上では良い点もありますが、創作活動をしていくには良くないこともあるなって。今は、もっと色んなものから解放されて、創ることに向き合うことができ、活動のフィールドを世界にできる兆しが見えて来たのでとてもワクワクしています。また、NFTアートは、大きなお金が動いたから注目が集まったということもありますが、それはあくまできっかけです。「こんな世界があるんだ!」と、デジタルアートの面白さや可能性がこれからもっと広がって行くと良いなと思いますので、そのためにも自分自身がもっと頑張らなければと思っています。
「メタバース大国」ドバイから始まる、世界への挑戦。
今後の海外での活動について教えてください。
メタバースがあればどこでも仕事ができますから、海外での仕事の可能性を広げるために色んな国に長期間滞在し、もう少し踏み込んでチャレンジしようと決めました。まずは3カ月間「メタバース大国」であるドバイで活動する予定です。これまでは依頼が来て海外に行くことはありましたが、今回は個展を開いたり現地の方たちと一緒にプロジェクトをやってみたいなと思っています。ドバイに行くと話したら「石油王のバックアップがあるんでしょ?」と言われがちですが、そんなことは全くないです(笑)。今住んでいるマンションも解約してAirbnbなどを利用して部屋をレンタルする予定です。私は、自分に素晴らしい才能やセンスがあると思っていませんし、ちょっと自信がない。だからこそ行動力をめちゃくちゃ大事にしています。新しく踏み込むことで新しい道が開けたら最高ですし、もし失敗したとしても学びや発見、経験値が増えます。同じ場所で停滞していることがアーティストとして一番怖いと思っているので、常に挑戦する道を選択して行きたいと思っています。
自分の信じた道を突き進んでもらいたい。
滋慶学園COMグループ教育顧問に就任されましたが、どんなことを学んでもらいたいですか?
本当に良い環境の中で、良い子たちが育っていらっしゃるなと毎回学校に訪問する度に思います。だから「もっとこうしなさい」と言うよりも「そのまま突き抜けて頑張ってね!」という気持ちでいます。ここにいる学生のみなさんは将来、社会に出て普通に稼いで生きて行くことはできると思います。でも、果たしてそれは本当 に自分がしたいことなのか?人生は、ただ生活のために働いてお金を得て生きるのではなく、もっとそれぞれの幸せな生き方があると思うので、ときには心配する人や否定的なことを言う人もいるかもしれませんが、心の奥底にある自分の気持ちに従って、自分の信じた道を進んでもらいたいと思います。